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2022.09.27 News

第2回MaSSAパートナー会議開催

– 船舶管理におけるDXを議論、MaSSAパートナーによるデータ活用事例の紹介も –

舶用機器メーカー15社が参画するMaSSAパートナーシップ(事務局:BEMAC株式会社(本社:愛媛県今治市、代表取締役社長:小田雅人、以下「BEMAC」))による第2回MaSSAパートナー会議が2022年8月5日(金)にBEMACの驀進ベースで開催されました。本イベントでは、BEMAC 代表取締役社長 小田より冒頭挨拶、続いて国土交通省 海事局 船舶産業課 課長 今井様よりご来賓挨拶をいただきました。その後、MaSSA-One*1を採用いただいている正栄汽船株式会社(以下「正栄汽船」) 船舶部 係長 冨田様から船舶データ活用におけるメーカーへの期待をご提言いただき、MaSSAパートナー3社による船舶データ活用事例の紹介がおこなわれました。当日は、対面とオンラインのハイブリッド会議をおこない23社 70名を超える方々にご参加いただきました。

参加者集合写真

BEMAC 代表取締役社長 小田の挨拶

※1 MaSSA-One:BEMACが運営する船上・陸上プラットフォーム。詳細はこちらを参照ください。


海事産業におけるDXは待ったなしの状況

国土交通省 海事局 船舶産業課 課長 今井様

国土交通省 海事局 船舶産業課 今井様より、「海事産業においては、現在、カーボンニュートラル、船舶の自律化・省人化といったニーズや社会要請が高まっており、様々な課題が山積しています。そのような中、日々生活する中でもデジタル化の動きは非常に早まっていると痛感しており、海事産業においてもDXは待ったなしの状況で、取り組まなければならない重要なテーマです。民間主導の取組に対して、海事局としては法令等の環境整備の他、様々な支援を通じて、しっかりと後押ししていきたいと考えています。MaSSAパートナーの取組に非常に期待しており、できる限りの応援をしていきます。」と述べられました。


トラブルの早急な対応、Condition Baseの機器整備への移行など、船舶データの積極的活用を

正栄汽船株式会社 冨田様

正栄汽船株式会社 船舶部 係長 冨田様が登壇し、トラブルへの早急な対応、Performanceのチェック/トラブルの予防、機器整備間隔の撤廃/Condition Baseでの整備へ移行、の3点について講演されました。「トラブル発生時に管理会社及びメーカーが発生状況の情報収集に時間を要し、危険海域で運航がストップした場合は座礁/接触事故など大きな二次災害へ発展する可能性が高くなります。1秒でも早くトラブルを解決したいと考えています。また、トラブル発生時の早期対応は重要なことですが、トラブルの発生を抑制することも大事であり、機器状態診断へのIoTの活用は非常に効果的だと考えています。3つ目に、機器整備間隔に関して、メーカーが推奨する整備間隔を採用しなければならない国が出てきています。管理会社としては、これを契機に適切なタイミングでの整備、つまりCondition Baseでの整備に移行して欲しく考えています。船舶管理に対する要求が年々急激に変わってきており、これまでの本船で管理する考えから、全ての責任は管理会社にあり、全ての機器の状態を陸上で管理しなければならないという流れに変わってきています。私たち船主や管理会社がこのような期待を抱いているということを念頭に置いていただき、IoTの活用を一つの手段として同じベクトルをもって共に進んで行きたく思っています。」とMaSSA-Oneユーザーとして今後の船舶管理の在り方と船舶データ活用への期待を語られました。


MaSSAパートナーによる船舶データ活用事例のご紹介(3社)

株式会社サンフレム(以下「サンフレム」)、日立造船株式会社(以下「日立造船」)、三浦工業株式会社(以下「三浦工業」)より自社における船舶データ活用の歴史と活用事例をご紹介いただきました。下記に各社様の講演内容を抜粋します。

本船からの安定した船舶データ取得によるデータ分析への注力、舶用メーカーによる連携

株式会社サンフレム 井上様

サンフレム 営業部 井上様の講演内容抜粋
「トラブル時の本船の情報がなかなか届かないことで管理会社・メーカーお互いが苦労してしまっています。そこで2015年より実際に本船からデータを取得し、データ分析を開始しました。現在はサンフレム スマートサポートシステムとしてサービス化し、トラブル時の正確な状況把握、部品の交換推奨、メンテナンスのご提案、燃費のいい運転方法や安全な運転方法のアドバイスをおこなっています。プラットフォームとの協業によって、本船からの安定した船舶データ取得、舶用メーカーの連携による各機器情報を一括管理可能なダッシュボードの構築や部品販売での連携などを進めていきたいと考えます。プラットフォームを通じて、ユーザー(船主等)と舶用メーカーがつながっていくことでよりデータ活用を進めやすい時代が来ると考えています。」

製品の使用状況をリアルに把握、顧客とのコミュニケーションを密に

日立造船株式会社 小林様

日立造船 脱炭素化事業本部 舶用機器・脱硝ビジネスユニット ICTグループ 小林様の講演内容抜粋
「2019年より船舶データを活用する新たなサービスの検討を開始しました。2019-2021年の間でニーズヒアリングを延べ30回以上実施し、WEBアプリケーション「HiZAS®VDA」を開発、2022年4月より提供を開始しています。ユーザーと会話する機会が着実に増えており、顧客とのコミュニケーションが充実してきていると実感できていることがサービスを開始して最も良かった点です。今後はEEXI対応やCBMなど、顧客ニーズを継続してヒアリングしながら持続成長するサービスを提供していきます。」

陸上事業のノウハウを取り入れながらお客様に喜んでいただけるメンテナンスサービスを

三浦工業株式会社 佐伯様

三浦工業 舶用技術部 舶用電機技術課 佐伯様の講演内容抜粋
「陸上事業では30年前よりIoTを活用したメンテナンスサービスを展開し、効率的にメンテナン  スできる体制を構築しています。近年の船舶の通信環境の発展に伴い舶用事業におけるIoT化の検討を開始しました。MaSSA-One搭載船にて外航船、内航船にて各1隻データ収集のトライアルを実施しています。WEBアプリケーションの開発を進めると共に、これに加えて陸上事業のノウハウを取り入れながらお客様に喜んでいただけるメンテナンスサービスの開発も検討しています。」


MaSSAパートナーシップにおける1年間の振り返りと今後の展望

BEMAC執行役員 寺田の講演の様子

BEMAC 執行役員 寺田より、「直近の目標として、2023年3月末時点で、メーカーがリモートで船舶データを見ることができ、さらにデータ連携を進めていることでよりスピーディなアフターサービス体制を構築しており、複数の船員支援アプリの開発・提供ができている状況を掲げていました。外航船においては、正栄汽船所有船舶にてMaSSAパートナー3社が提供しているアプリケーションを陸上環境で提供。正栄汽船、MaSSAパートナーの双方で実際の船舶データを用いて有効性を検討しています。内航船においてもMaSSAパートナー4社によるモニタリングサービスを船主と一体となって企画し、実船にてトライアルを実施しています。これらを実現させるために必要なプラットフォーム機能をMaSSAパートナーからの要望を踏まえながら追加開発しました。」と述べました。
今後の展望として、2022年7月時点で船舶データ収集中の船は60隻あり、2024年4月には250隻を超える見込みとなっています。MaSSAパートナーシップにてトラブルシュート機能を連携し、効率化していきたいと考えています。トラブル発生時の詳細な船舶データを収集し、データを共有することで、様々な機器がリモートで船舶データを確認でき、トラブル対応の効率化や早期復旧が可能な状態を構築していきます。本会を通じて、MaSSAパートナーの皆さまから色々なアイデアを出していただき、船舶デジタル化の実現に向けた実船での検証やサービス開発・連携に引き続き取り組んでまいります。

MaSSAパートナーシップとは
船舶のデジタライゼーションを強く推し進める企業同士が連携し”決して止まらない船”の実現を目指し、MaSSA-Oneを通じて船舶データを共有しながら新たなサービス事業の創生を図ることを目的としたパートナーシップです。運航中の船舶に搭載されている機器の適切な保守や不具合発生時のスピーディな復旧支援に向け、船舶データを活用した船員支援アプリの開発・提供および保守アライアンスの構築などを連携して進め、船主、管理会社等のステークホルダーの船舶ライフサイクルプロフィットの拡大に貢献していきます。



■ご出席者・参加企業(五十音順)

  • 国土交通省 海事局 船舶産業課 課長 今井 新様
  • 国土交通省 海事局 船舶産業課 人材政策企画官 石黒 智紀様
  • 正栄汽船株式会社 船舶部 係長 冨田 旭洋様
  • 株式会社アイメックス
  • 潮冷熱株式会社
  • 株式会社カシワテック
  • 川崎重工業株式会社 精密機械ディビジョン
  • 株式会社ササクラ
  • 株式会社サンフレム
  • 株式会社ジャパンエンジンコーポレーション
  • 大晃機械工業株式会社
  • 大晃ホールディングス株式会社
  • ダイハツディーゼル株式会社
  • 株式会社帝国機械製作所
  • 株式会社中北製作所
  • ナブテスコ株式会社
  • 西芝電機株式会社
  • 日本舶用エレクトロニクス株式会社
  • 日本無線株式会社
  • 日立造船株式会社
  • ボルカノ株式会社
  • 株式会社マキタ
  • 眞鍋造機株式会社
  • 三浦工業株式会社
  • ヤンマーパワーテクノロジー株式会社
  • 株式会社YDKテクノロジーズ
  • BEMAC株式会社(事務局)